令和6年度 第74回税理士試験受験案内を去年よりもっと熟読してみた

当ページのリンクには広告が含まれています。
8chunmama

こんにちは。8chunmama(はっちゅんママ)です。

今回は令和6年度(2024年度)の税理士試験受験案内を熟読してみました。
受験が2回目以降の人は提出締切日や試験当日の日程だけを確認しがちですが、しれっと前年からの変更があったり、重要な情報が書かれていたりすることがあります。
令和6年度の税理士試験は特に、前年とは異なる点が多々あります。
受験案内の精読・熟読はご自身で一度していただきたいのですが、まずはこの記事で目を通してみてください。
(重要なポイントと、ただのツッコミが入り混じっています。)

令和5年度の受験案内を熟読した記事はこちら。
重複している点は今回省略しているので、よろしければどうぞ。

本記事の“”内の文言の引用元は、特記の無い限り国税審議会発行の「令和6年度 第74回税理士試験受験案内」です。

目次

1ページ目(表紙)

  • 受験申込日程の前倒し

※ 受験申込受付期間が例年の日程より前倒しとなっておりますので、ご留意ください。

試験日自体は「8月の第2木曜を含む、連続する火・水・木曜」という切り口をすると前年と同様の日程ですが、受験申込用紙の交付と受験申込期間は随分と早まっています。

令和5年度の日程と比較すると、

受験申込用紙の交付
R5/4/13~R5/5/19
→ 令和6年4月8日(月)~令和6年5月10日(金)

受験申込受付
R5/5/9~R5/5/19
→ 令和6年4月22日(月)~令和6年5月10日(金)

受付申込受付締切の前倒し日数よりも受付の開始が大幅に早まっているのは、ゴールデンウィークを含んでの前倒しとなるので、連休中は受付処理作業ができないから、ということかもしれません。

  • 地味に合格発表予定日を試験日程の表の上に記載している
    このマイナーすぎる改良、私も令和5年度のものと見比べなければ気づきませんでした。
    合格発表はいつですか?、と問い合わせが何件かあったのでしょうか。
    確かに、時系列で書くより、日程は日程で表の上にまとめて書いてあったほうが分かり良いですし、字を赤くする効果も上がります。

    日頃の仕事でも「書くべきことは書いているのだから見落とすほうが悪い」と日頃の仕事でも考えがちですが、相手がその言語を読める人だったら誰でも理解できるように資料や書類を作るのは大切、ということですね。

    このほかにも、赤字にしたところをさらに部分的に下線を引いたり、太字にしたり、大事なことを見落とさないよう、そして書類不備による国税審議会側の事務処理作業の追加を生まないよう、一生懸命に工夫されています。
  • 令和7年度は「受験票のデジタル化」

令和7年度(第75回)の試験から、国家資格等情報連携・活用システムの導入により、マイナンバー等を活用した受験申込のオンライン申請、受験票のデジタル化及び受験手数料のキャッシュレス納付(ペイジー)等が可能となる予定です。

マイナンバーカードの促進ね、オンライン申請ね、はいはいはい、と読み流しかけましたが、えっ、「受験票のデジタル化」!?

可能となる予定です。

なので、今までどおり紙の受験票がいいという人は現行のアナログな受験票で受験できるはず。

詳細なお知らせは、決まり次第、国税庁ホームページ等に掲載する予定です。

って、詳細が決まってから書けばいいのに、去年から受験案内にちょいちょい来年度の告知を挟んできますね。
受験生が必ず目を通すので、確かに告知の場としてはいいのですが。
(当ブログも策にハマって拾ってますし。)

「デジタル化」がどのような形式なのか、記事執筆時点では想像するしかありませんが、マイナンバーカードを机上に置いたまま受験するのは嫌ですし、本人確認の見回り時にスマホやタブレットの画面ロックを解除するのも時間のロスやカンニングの濡れ衣等のリスクがあります。
もしそういう方式でのデジタル受験票なのであれば、試験開始までのタイミングで本人確認を済ませてほしいものです。 今まで受験申込用紙に貼付していた写真が不要となり、マイナンバーカードで登録した顔写真データで済むということであれば、その点は楽ですね。

2ページ目

  • 税理士登録者の科目コレクションのための受験禁止

税理士資格を有する者は受験できません。

「もう税理士の資格を取ってるのだから、採点の手間を増やしたり、未来ある受験生の合格の座(成績上位)を邪魔したりしないでくださいよ」ということでしょう。
あの科目で登録したけど、こっちの科目だって合格基準に達してるんだ、免除を受けたけど試験受けても受かるんだ、というのを見せたくても見せられないのです。

私も5科目めの国税徴収法の講座申し込みをする前に、国税審議会に「官報合格をしたあとに、合格済みではない科目を受験することはできますか?」と問い合わせたことがあります。
当時の受験案内にこの注書きはありませんでしたし、国税審議会内でも電話口の方は即答することができない程度の周知具合でした。
しかし、電話の奥にいる方が試験の方針を理解していたようで、しばらく待たされたあと、そのような受験はできないと言われました。
同様の質問がその後もあったのでしょうか? 今では、こちらのQ&Aで取り上げられています。

ちなみに、ですが、実力があれば何の科目で税理士登録していようが、この世界では関係ありません。
何かの科目を合格していないことなんて、自分がどれだけコンプレックスを持つか、だけです。

顧客から税法は何の科目を合格したのかを聞かれたことは一度もありませんし、もっと言えば税務担当者は全員税理士だと思っていらっしゃる社長・経理の方も多くいます。
転職・就職活動においては、最高峰の事務所の書類選考で不利になることはあるかもしれません。
それでも、そこに転職をするのに資する業務の実務を積んだあとであれば書類選考を通過することもあるでしょう。 中小の事務所であれば、合格科目数や合格科目の種類は実務経験のない方のポテンシャルの証明程度で、担当を持てる方・内勤であれば決算を固められる方であれば合格科目を問わず採用したいと思ってもらえるでしょう。

5科目合格すれば足りる税理士試験で、ごくごくたまに6科目合格をする人はいますし、税法を制度上可能な限り合格した科目コレクターにも会ったことはあります。
しかし、そういう特殊な場合を除いて、何かしらの科目は受験(合格)することなく税理士になることになっている制度なのですから、合格していない科目にわざわざこだわる必要はないと思います。
それより、税理士試験合格後は、実務で税法改正や電子帳簿保存法などに対応するための勉強のほうにエネルギーを割いた方がよいと思います。

8chunmama

なーにが定額減税だーーー!!

合格科目と転職活動についてはこちらの記事をどうぞ。

受験地

令和6年度も令和5年度・令和4年度と表記の違いはありませんでした。
個々の受験会場は前年と変更になる可能性があります。
そして、会場自体は前年と同じでも、東京都のように同じ地区の中で複数の会場があれば、申込受付のタイミングや受験科目の組み合わせによって、自分が前年とは異なる会場へと割り当てられる可能性があります。 受験地の都道府県については

試験は、北海道、(略)沖縄県において行います。

と「において」とあるので、日本語上はこれらの都道府県以外ありえないでしょう。
ただし、

受験地は、受験申込者数等の状況に応じて追加することがあります。

とあり、「絶対」とは言っていない逃げ道を作っています。
出願後に受験地を県単位で追加するなんてことは、大規模災害発生などの不可抗力が起きたという以外ではやめていただきたいものです。

8chunmama

平成23年度の税理士試験の受験案内には、受験地は「東京都」以外は「市」が記載されていました。
そして、申し込み状況により例えば希望の東京都から横浜市に受験地が変更されることがありえました。
市を明記するリスクは、試験会場の入札失敗(契約不成立)のリスクもあるので、都道府県単位の記載になったのかもしれませんね。(※個人の見解です。)

※過去の試験会場はこちら
令和5年度の試験会場

令和4年度の試験会場

令和3年度の試験会場

  • 受験地の選択は変更不可

また、受験申込後における受験地の変更は認められません。

受験申込後に転勤や転職により遠方へ引っ越しをしても、当初申し込んだ受験地の都道府県で受けなければなりません。
そしてもちろん、台風が迫っていることが分かっていても、飛行機の欠航や新幹線の計画運休があっても、受験地は変えられないのです。

8chunmama

ここのところ本試験の時期に季節外れ(だったはず)の台風が来るの、なんとかなりませんかね。

  • 自己責任

4 試験当日は受験者各自の判断で試験会場までの安全を最優先に行動してください。

「何かあっても責任は取れません。保険も加入していません。」ということです。

3ページ目

  • 赤書き

「税理士請求」と赤書きし

「税理士受験」と赤書きし

あかがき!?
「朱書き」じゃなくて??
と思って昨年の受験案内や自分が受験した平成時代の受験案内を見返しましたが、同じく「赤書き」と書いてありました。
朱書きという言葉は辞書にも載っているし、「赤書き」とググっても「朱書き」が上位にヒットするので、現時点ではまだ「朱書き」のほうが一般的なようです。(ホッ。)
そのうち、国語辞典に「赤書き」という言葉が載る時代が来るのかもしれません。

8chunmama

「ホッチキス」のことはこだわって(?)「ホチキス」って書いてるのに、「朱書き」は「赤書き」なのね。

  • 社会で生きていく上での常識(うっかり忘れる人はいるかも)

(封筒に差出人の住所及び氏名を記載すること。)

8chunmama

こんなん、わざわざ書かなあきませんかね。(訳:書かないとダメですかね)

うっかり書き忘れる人は、この一文のこともきっと読み飛ばしています。
出願に際しては、何事にも細心の注意を払いましょう。

  • 受験票の送付

受験票は、令和6年6月24日(月)以降順次郵送しますが、令和6年7月12日(金)までに受験票が到着しない場合は、受験を申し込んだ国税局等(20ページ参照)にお問合せください。

税理士事務所に勤務している人は、6月申告や納特が終わる前後には届くと覚えておきましょう。

受験票が届いたら、こちらをどうぞ。

  • 登記印紙
    受験申込に使用できるのは収入印紙であって、登記印紙ではありません。
    登記印紙は平成23年4月1日以降廃止されたそうなので、普通は間違って購入しないはずですが、在庫が流通している可能性も完全にゼロではありません。
    もしチケットショップなどで印紙を買う際には「収入印紙をください」と言うようにしましょう。

4ページ目

  • 書類の写し

改姓前後の氏名が確認できる書類の写し(例:戸籍謄本(抄本))

「書類の写し」という表現は受験案内において何度も出てきますが、このまま日本語を解釈すれば、役所やコンビニで入手したもののコピーでいいですよ、ということです。
というのも、13ページ住所変更届の添付書類に

新住所が確認できる書類の写し(例:運転免許証(両面))

とあり、免許証の原本は提出するわけがなく、「免許証の写し」という書類も存在しないので、免許証のコピーを意味しており、これと同じ語順で表記されている戸籍謄本もコピーでいいはずなのです。
(万が一違ったらご一報ください。)

8chunmama

私の時は「戸籍抄本(コピー不可)」だったのに!

相続手続きでも戸籍謄本は保険会社等から基本的に返却されますから、もしかすると戸籍謄本(役所発行の原本)を出されても個人情報の関係で処分に困るというのが本音なのでしょうか。

8chunmama

戸籍謄本が「戸籍の写し」っていう意味があって、「戸籍謄本の原本」とか「戸籍謄本の写し」とか言っていたら訳が分からなくなるので、受験案内では他の書類(「税理士試験等結果通知書)など)と同様に「戸籍謄本のコピー」って言葉を使ってもらえますかね。
もしくは、「確認できる書類(戸籍謄本(抄本)等)の写し」という語順にするか。

尚、戸籍謄本は「全部事項証明書」、戸籍抄本は「個人事項証明書」等と印字されています。 間違った書類を印刷してしまったわけではないですよ。

  • 書類不備で大変なのね

※大学3年次以上であることが確認できない成績証明書の提出が多いので注意してください。

日本では多数派の「4月はじまりの大学」の場合、今年大学3年生になった学生が4~5月に成績証明書を発行してもらうと3年生の前期の成績がついていませんから、それだけでは最新でも2年生の後期までの成績しか証明されていない状態です。
2年生の後期の単位が取れていたら今は3年生でしょ、と思うかもしれません。
しかし、大学の規則にもよるでしょうが、休学・留年により2年生のままかもしれませんし、もしかしたら退学しているかもしれません。
また、「何年度(2023年度など)に取得した」という記載はあっても、その学生が何年生の在籍時に取得したか記載のない成績証明書の大学もあるかもしれません。
ですので、以上のような場合にはそれだけでは3年生ですという証明にはならないため、3年次以上である在籍証明書が必要なのです。

この※印の注意書き、受験資格拡大によるものかと思えば、平成28年度の受験案内にもありました。
平成23年度の受験案内には記載されていませんので、この数年の間で、大学生の受験者が増えたのか、それとも不備は前からあったけども痺れを切らして注意書きを加えたのか・・・。

6・7ページ目

  • 〇〇証明書はコピー提出も可だけど、〇〇証書はNG

(注)1 卒業証書や合格証書、成績通知書は受け付けませんので、かならず証明書を提出してください。 いずれの書面もコピーしたものを提出することが可能です。

この「いずれの書面も」は5ページの右欄「提出する書類」の各書類に掛かっています。
「卒業証書や合格証書、成績通知書」ではありません。

コピー提出可で、かつ、各証明書の有効期限はない書類。(※各書類に特記があるとすればそれは別です。)
可と言っているんだからコピーを提出しましょう。 なぜだか分かりますか?

今回の令和6年度の試験で税法の受験資格がある証明書類を提出し、令和7年度以降はこの「新規受験者」としての手続きを確実に省略するためには、令和6年度の「税理士試験等結果通知書」が必要です。
そんなの、必ず貰えるでしょ、って思いますよね?
でもね、この通知書、会場に向かって受験しなければ受け取れないですよ。
試験当日に不可抗力により受験できない、というのは誰にでもありえることですので、受験申込=来年以降受験資格の証明書類がもらえるとは限らないのです。
受験票が受験資格の証明にならなくなった令和5年度以降の試験では、「新規受験者」としてもう一度証明書を、提出しなければいけない可能性がゼロではなくなりました。
ですので、「コピー可」と言われたものはできる限りコピーを提出できるようにし、原本は来年以降にも使えるよう、念のために手元に置いておくようにしましょう。

  • 〔個別認定申請先〕
    これは受験資格の個別認定であって、注13の続きです。
    一部科目の試験免除の研究の認定先ではありません。
    どのような経歴等の人が受験資格の個別認定を受けるのか、実例を周囲では聞いたことがありませんので、おそらくレアなケースでしょう。

10・11ページ

  • 学歴と職歴のコードは毎回記入を
    受験申込書の(6)欄と(7)欄の注書きの趣旨は、過去に税理士試験を受験し、その過去データと同一人物であることが照合できるような書類を提出していれば国税審議会が受験番号等で管理をしてくれているので記入不要、ということです。
    これを書くのは面倒くさいな、ああ書かなくていいのか、と何度思ったことか。
    受験資格・学歴・職歴コードの記入漏れが多いということなので、コード62~65は記入してくださいね。

12ページ

  • 受験票の再交付に必要なもの

(注)受験票を紛失した場合には、(中略)身分を証する書類(運転免許証等)を持参し再交付の申請を行ってください(郵送による受験票の再交付は行っておりません。)。

ここから読み取れるのは、2つ。

まず読んですぐ分かるのは、「人間なので失くすこと(災害等で汚損すること)はあるけど、失くしたら国税局等まで来る覚悟で受験票を大切にしなさいよ」、ということ。

そしてもうひとつは、万が一のときのため、試験当日も運転免許証やマイナンバーカードは持って行っておいたほうがよさそうだということ。

試験当日に受験票を忘れた人には試験会場で救済措置があるようです。
今年の試験もそうだとは限りませんが、ペーパードライバーの人でも運転免許証は常に携帯していたほうが、もし受験票を忘れたり落としたりしたときのためには良さそうです。

13ページ

  • 官報合格したかどうかが知人に知られない

合格証書を郵送するとともに、発表予定日に受験地・受験番号を官報及び国税庁ホームページに掲載します。

令和5年度までの試験では、過去の同僚などの(今連絡を取っていないような)知人が合格しているかも?、とインターネット官報で見ることができていました。
しかし、令和6年度からはそれもできなくなります。

税理士登録まで済んだ人については、税理士情報検索サイトで氏名検索をすれば税理士登録しているかどうかが分かりますので、お知り合いのその後が気になる方はそちらをどうぞ。

官報合格した方が画像で合格を報告する場合には、インターネット官報のスクリーンショットではなく、合格証書が届いてから撮影しての報告になるのかもしれませんね。

まとめ

今回は税理士試験の受験案内を、令和5年度とは違う箇所について熟読してみました。
受験申込受付令和6年5月10日(金)消印有効
もうこれだけはスマホのスケジュールや職場・自宅のカレンダーにメモしておいてください。
これを守れなかったときの救済措置はないものと思って、不可抗力が掛かる前に早目の申し込みを済ませましょう。

ゴールデンウィークは、受験申込の準備がまだの人はそれが第一のタスクです。
そして、勉強が遅れ気味の人はそのリカバリー、そうでない人も「間違い・弱点ノート」作りがまだであればそれを作りつつ、これまでの復習に時間を費やしましょう。
成績はまだまだこれからいくらでも伸びます。
今の成績が良くても悪くても、気を緩めずに前へ前へと進んでいってくださいね。

広告

税理士
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次