税理士試験の税法科目合格は履歴書上でどう見える?~税法科目選択のヒント~

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8chunmama

こんにちは。8chunmama(はっちゅんママ)です。

今回は、前回に続いて、
「税理士試験の各科目の合格が、履歴書上でどういう印象を与えるのか?」
という視点で、採用側の率直な意見も含めて解説していく、2回目です。
税法科目の合格を、採用側はどのように感じているのでしょうか。
ひとつひとつ見ていきましょう。

なお、この記事は、今後の税法選択のヒントのためのものです。
既に合格している科目については、合格したというだけで

「税法を合格できていて偉いな。」

「税法は読めるんだな。」

という印象を与える素晴らしい実績です。
本記事の各欄で採用側の意地悪な気持ちが書いてあるものについてはスルーしてください。

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税法合格者って、ご自身が思っている以上にレアキャラですよ。

目次

消費税法

消費税法合格、と書いてあるときの採用側のリアクション例は次のとおりです。

  • 「税区分はバッチリだね。」
    消費税法を合格していると、実務経験がなくても会計入力や会計データのレビューの即戦力として期待されます。
    ずいぶん昔に消費税法に合格していて、税法改正に追い付いていない所長税理士さんに頼りにされることもあり得ます。
  • (簿財が合格済みで、消費税法が唯一の税法合格科目の場合)「簿・財・消費までは合格するんだよね。」
    こういう考え方も、実際にあります。
    消費税法合格でずっと足踏みしている人を多く見ているからです。
    ただし、もし面接でストレートにそういう言い方をしてこられた場合には、相手の性格を疑った方がいいかもしれません。

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酒税法

酒税法合格、と書いてあるときの採用側のリアクション例は次のとおりです。

  • 「消費税法は選ばなかったんだな。最近消費税法は難しいっていうもんな。」
  • 「消費税の課否判定とか個別対応方式とか、対応できるのかな?」
    酒税法と消費税法は選択制で、酒税法を合格したということは消費税法を受験しないだろうということを意味します。
    実務で消費税の知識は必須なので、酒税法合格とだけ履歴書に書いてあると少し心配されてしまいます。
    「消費税法の試験は受けませんが、自分で勉強し(て)ます」「問題なく実務をこなしています」というアピールをお忘れなく。
  • 「計算のほうが得意なのかな?他の税法、大丈夫?」
  • 「大学院の科目免除狙いかな?」
    酒税法は一般的には勉強に必要な時間が少なめですので、酒税法のみ合格している状態だとこのように推測されるかもしれません。
    既に他の科目の勉強を始めている場合にはその旨を書いておいた方が良いでしょう。
  • (酒類製造者が関与先にいる事務所の場合)「酒税法の申告は任せた!」(?)
    私の周りに酒類製造者の関与先を持っているという事務所の話は聞かないので、想像なのですが、私ならそう思うかな、と。

酒類製造者は、その製造場ごとに、毎月(当該製造場からの移出がない月を除く。)、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申告書を、翌月末日までに、その製造場の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。
酒税法 第三十条の二

と、毎月申告ということなので、大変そうです。
が、事業者が自分で申告しているかもしれません。
(実情をご存知の方、お問い合わせフォームでご一報ください!)

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法人税法

法人税法合格、と書いてあるときの採用側のリアクション例は次のとおりです。

  • 「おお。法人税法合格!」
    法人税法の合格者は、税理士を含めた官報合格済みの人を分母にするとそれほどレアではありませんが、転職市場においては超・超レアキャラです。
    育てる時間ゼロ(育てる気ゼロ?)の即戦力のみを求めるブラックな事務所を除き、もし実務経験がなくても、それをカバーするくらいの履歴書上のアピール力があります。
  • (実務経験がない場合)「でも、申告書は作れるよね。基本が分かっているから、あとは慣れだよ。」
    1つ上の項目と重複しますが、実務経験がなくても大目に見てもらえますし、教えたら身に付けるだろう、とポテンシャルを買ってもらえます。
  • 「官報合格有望だね。」
    法人税法を合格済みということは官報合格を狙っていると捉えるのが一般的です。
    税法の中でも難易度の高い科目ですので、将来税理士になることを期待されます。
  • 「申告書の作成を任せられるね。」
    税理士事務所によって、全員が法人税法の別表作成をできるようにしている事務所と、担当者のみができればいいとしている事務所と、温度差が様々です。
    全員が別表を作れるわけではない、と思っている事務所では、法人税合格は実務経験がなくてもポイントが高いです。
    尚、担当者ではあっても、税理士を目指しておらず、勉強も実務で自分が必要とされたもののみ、という人がいて、そういう人たちは別表の構造を理解していなかったり、申告書作成の詰めが甘かったりという傾向にあります。
    税理士を目指している、簿財受験中の人についても同じことが言えます。
8chunmama

全員が全員そうじゃないですよ。デキる人もいます。

そういう人たちの申告書作成をサポートする役割を期待されるでしょう。
また、調査後の修正申告を、スポットで丸投げされることもあります。

  • 「検算を任せられるね。」
    法人税法に合格していなくても検算(Wチェック)ができる人はたくさんいますが、履歴書ベースではやはり合格者には検算役を期待されます。
    深いところまで指摘できるかどうかは経験がものを言うかもしれませんが、まずは形式上のミスを発見できるだけでもポイントが高いでしょう。
    尚、試験の最適解と実務の最適解は異なりますので、指摘するときは相手が間違っていると決めつけた言い方は控えましょう。
  • (実務経験がない場合)「消費税のこと、分かってる?」
    これに関しては、採用側が求めることなので致し方ありません。
    自分自身も後々困りますので、消費税法の受験予定がないとしても、実務で使う最低限の知識(税区分や業種区分)は本を読んで理解しておきたいものです。

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相続税法

相続税法合格、と書いてあるときの採用側のリアクション例は次のとおりです。

  • 「お、すごいな。」
    国税三法と言われるもののうち唯一必須科目ではない相続税法。
    敢えての選択には強い意志を感じることでしょう。
    レア度としては法人税法合格者よりも上です。
    合格していると目を引きます。
    所長税理士が相続税法を合格していない場合もあり、申告時には頼られるかもしれません。
  • 「相続税の申告を任せられそうかな?」
    相続税は法人税や所得税以上に実務と試験勉強ではすること異なります。
    税額計算に至るまでの準備が・・・。
    でも、相続税法に合格しているのはかなりの武器になりますので、謙遜せずにアピールしましょう。
  • 「株の評価を任せられそうだな。」
    相続税法を勉強していると、自社の株価の評価のスキルが身に付きますので、その役割を期待されます。
    面接で「株の評価はできますか?」と聞かれたら、未経験でも「是非させてください!」とやる気を見せましょう。
  • (相続専門の事務所ではない場合)「入社後に、相続専門のところに移ろうとしない?」
  • 「独立開業志向かな?」
    相続税法を選択する人は、相続税の申告報酬による年収アップや(独立時の)年商アップを見据えている人が多いように思います。
    人手不足が顕著な昨今、「実務経験を2年積んだら独立します。」と正直に言っても採用される場合も珍しくはなくなってきたでしょうが、ものの言い方には気を付けましょう。
8chunmama

相続専門の事務所で数年経験を積んでから計画的に独立する人、多いんですよね。だから相続専門の事務所は、良い事務所でも人材の回転が速い場合があります。

  • (実務経験がなく、相続税法が唯一の合格済み税法の場合)「法人税と消費税は分かる?」
    相続税法に合格しているので素養は認められてポイントは高いですが、相続に特化していない税理士事務所であれば日々の業務をこなしてくれる即戦力を望んでいる場合が多いです。
    今勉強している科目があれば履歴書等でアピールし、入所後の自己研鑽も誓っておきましょう。

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所得税法

所得税法合格、と書いてあるときの採用側のリアクション例は次のとおりです。

  • 「おお。所得税法合格!」
    所得税法の合格者は、転職市場においては法人税法合格者以上にレアキャラです。
  • 「確定申告の即戦力だな」
  • 「年末調整はできそうだな」
  • 「官報合格有望だな。」
  • (法人税法も合格している場合)「次は相続税法かな?消費税法かな?」
  • (実務経験がなく、所得税法が唯一の合格済み税法の場合)「法人税と消費税は分かる?」

所得税法から先に勉強を始めるのは、学生から勉強を始めたか、異業種からの転職の人が多いように思います。
所得税法の合格者(というかそもそもの受験者)は法人税法の3~4割前後で、所得税法の知識はとても頼りにされます。
その一方で、相続等の特化型事務所ではない場合には日常業務で法人税法の知識も要求されますので、今後法人税法の受験予定がない人も、最低限、別表のつながりについては理解をしておきましょう。

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国税徴収法

国税徴収法合格、と書いてあるときの採用側のリアクション例は次のとおりです。

  • (国税徴収法が唯一の税法合格科目の場合)
    「大学院の科目免除(院免)を狙ってるのかな?」

    院免に悪い印象がある古いタイプの面接官もいますが、最近はそれほどではありません。
    ただ、大学院に通学するのであれば就業時間の考慮が必要になるので「大学院はこれから通うのかな?」と学歴欄に視線が戻り、面接で今後について質問される可能性が高いです。
    第一段階で書類選考がある場合には、大学院通学予定の有無や、他に受験予定の税法科目があればそれも応募書類に書いておきましょう。
  • (官報合格済みの場合)「早く合格したかったんだな。」
    私の場合がこれです。
    官報合格していれば、あまり細かく追及されません。

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固定資産税

固定資産税合格、と書いてあるときの採用側のリアクション例は次のとおりです。

  • 「身近な税法だからかな?」
    固定資産税は事業者でない個人でも納める機会がありますので、異業種からの転職の場合は特に、そういう理由なんだろうな、というふうに想像されます。

固定資産税合格者の税理士さんは結構います。
TACでお世話になった先生も2人ほど固定資産税合格者でした。
そのほか、知人の女性税理士が固定資産税(と所得税法・住民税)合格です。
ただ、その女性は「固定資産税、実務で全っ然使わんよ(苦笑)」と言っていましたが。
(業種による優遇措置もあるので、知識が全く役に立たないわけではないと思いますが。。。)
その方は今、相続申告メインの事務所にお勤めです。
結局のところ、さほど気にすることはなさそうですね。

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ある固定資産税の受講生(TAC生)が「固定資産税の理論はこれ以上ないくらい削ぎ落とした文章なので、省略しようなんて思わず一字一句全部覚えてください。」って言われたそうですよ。

事業税

事業税合格、と書いてあるときの採用側のリアクション例は次のとおりです。

  • (法人税法合格済の場合)「法人税法とセットの、効率重視だな。」
    そういう攻め方もあるよね、というふうに理解してもらえます。
  • (所得税法合格済の場合)「な、なぜ??住民税じゃなくて??」
    まずそういう選択をする人はいないと思いますが、勉強の効率も悪いので「法人税法+住民税」「所得税法+事業税」という組み合わせは避けましょう。
  • (法人税法にまだ合格していない場合)「法人税法とセットで受けたのかな?次は法人税法を受けるのかな?」
    法人税法を勉強中の場合は、その旨アピールしておきましょう。

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住民税

住民税合格、と書いてあるときの採用側のリアクション例は次のとおりです。

  • (所得税法にまだ合格していない場合)「身近な税法だからかな?」
  • (所得税法にまだ合格していない場合)「所得税法とセットで受けたのかな?次は所得税法を受けるのかな?」
  • (所得税法合格済の場合)と「所得税法とセットの、効率重視だな。」
  • (法人税法合格済の場合)「事業税じゃなくて住民税??」

多くは事業税の場合と同じです。
ミニ税法とはいえ、所得税法との組み合わせであればマイナスには作用しません。

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まとめ

以上、今までの私の勤務先や周囲の意見を中心に、税法の科目合格についての印象をご紹介しました。
偏った個人の見解も含まれているかもしれませんが、そういう見方をする人もあるんだなという参考にしていただければと思います。

実務に就いていない人は、税法科目の選択基準は、ネットで紹介されている勉強時間になりがちです。
最終的に税理士登録して開業してしまえば、何の科目に合格して税理士になったのか、官報合格なのか大学院ルートなのかは、顧客にとってそんなことは関心事ではない場合も多いです。
ただ、転職のときには、採用側に与える印象は合格科目により異なります。
インパクトのある科目とそうでない科目は、同じ1科目合格でもその差は大きいので、せっかく勉強するのですから、計画的・戦略的に科目を選択したいものです。

また、合格科目数が多いに越したことはありませんが、別に科目免除を受ける計画であっても、自分の中で筋が通っていて、それを相手に伝えることができれば、きちんと評価してもらえます。
自分がどんな税理士になりたいのか、どういう業務に従事したいのか、具体的にイメージをしてみてください。
受験指導校によっても学べる科目が違ってきますので、次の次にご自身が何の科目を選択するつもりなのかも含めて、科目選択・受験指導校選びをしてくださいね。

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