義援金と支援金と自治体への寄付 税法上の取り扱いも含め税理士が解説

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こんにちは。はっちゅんママです。

令和6年能登半島地震により被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。 読者の方々や御家族・ご友人はご無事でしたでしょうか。

私は出身も在住も北陸ではありませんが、震災については個人的にも色々と思うところがあります。
この場でそれらを書けば話題が多岐にわたってまとまりのない長文になってしまいますので、今回の記事では令和6年能登半島地震の義援金・支援金関連について解説等していきたいと思います。

※税理士の書く記事ですので、寄附金控除を絡めたものとなっております。

目次

義援金と支援金

  • 義援金
    義援金配分委員会を通じて、被災した方へ直接お金が届けられます。
    その使途を指定されることなく手元に現金が届くので、それぞれの被災状況や生活に合わせて、本当に必要な物資購入やサービス享受に役立てて使っていただけます。
    阪神淡路大震災では、全国から義援金が集まる一方で、誰にいくら配分すればいいのかを決定するのに時間がかかりました。
    その教訓を踏まえたのでしょう、最近の義援金募集では、まずは何月何日までの分をと期限を区切り、迅速に被災した方への配分額の決定・配分に努めているようです。

    被災直後は水と食料とライフラインが重要で、正直お金を貰っても周囲のお店も被災しており営業しておらず、通販も道路が寸断されて実質利用できない、とその使いどころがない状況だと思います。
    その後、とりあえず身の安全が確保され、少しずつライフラインが復旧し始めて動きが取れるようになった頃には、やはり先立つもの(お金)が必要となってきます。 個人個人が元の生活に戻るための資金としてに少しでも役立ててもらえるのが義援金です。
  • 支援金
    災害支援活動やインフラ復旧整備、仮設住宅の建設など、復興のための活動資金として役立てられます。
    地方自治体への直接の寄付の他、復興支援団体の活動を支える資金としての募金です。

寄付の窓口とその選び方

  • 信頼できる団体を通じた寄付を
    悪いことをする人は、他人の不幸に乗じて募金と称した詐欺をするものです。
    ご自身の善意が「被災地や被災した方へきちんと届けられる」と信頼できる団体を通じた寄付をするようにしましょう。
  • 義援金を寄付したいとき
    義援金を直接受け付けている代表的な団体は
    日本赤十字社
    赤い羽根共同募金
    の2つです。
    テレビ局や新聞社などのマスメディアも、日本赤十字社を通じた募金をしていますね。

日本赤十字社・赤い羽根共同募金のいずれも、
被災地域全体への寄付(日本赤十字社本社中央共同募金会が、各県の被災状況により按分して送金)

寄付先の県を指定できる寄付(窓口が被災県下にある日本赤十字社各支部や各県下の共同募金会
の両方があります。
被害に遭われた方の人数や被害の程度に応じて各県への配分を一任したいときは前者、ご自身のゆかりがある地域の方へ義援金を届けてほしいときは後者ですね。

義援金専用口座への振込みを証する書類が寄附金控除の要件になりますので、
・ゆうちょ銀行の窓口を通じて寄付
→払込票の控えが寄附金控除のための書類、
・銀行ATMを通じて寄付
→ご利用明細が寄附金控除のための書類
となります。

寄付を受ける側の受領証発行作業の手間が省けるのがいいですね。

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マンパワーは被災者支援に使ってほしい!

詳しくは下記リンクよりどうぞ。

  • 被災自治体へ寄付をしたいとき
    被災した各県、各市町村へ寄付をしたいときは、「ふるさと納税サイト」が窓口になっています。
    (一部、募集を終了している自治体があったり、寄付先の数がサイトによって異なります。)

普段のふるさと納税と違い、

  • 返礼品は無し
  • ふるさと納税サイトが通常自治体から受領している手数料や、寄付金の振込手数料を差し引かない
  • ポイント付与やキャッシュバックは無し

となっており、利用者の寄付額がそのまま寄付先の自治体に送金されます。

また、「代理寄付」という仕組みもあります。

「代理寄付」とは、被災していない自治体が被災自治体の代理でふるさと納税の寄付を受け付け、被災自治体へ寄付金を送付する仕組みです。
「代理寄付」を受け付けた自治体が被災自治体に代わり事務作業を負担するため被災自治体は災害からの復旧対応に注力することができます。

※代理寄付受け付け自治体へ寄付を行う場合、寄付金受領証明書は代理寄付受け付け自治体名で発行されます。

「さとふる」サイトより

最終的な寄付先ごとに寄付ページが設けられていますので、A県B町への寄付をしたいので、そこへの寄付を募集しているC県の窓口へ寄付をしよう、と自分で選ぶができます。

ふるさと納税サイトを利用することは、寄付者にとって
・県単位のほか、市町村単位での寄付先を決められる
・時間や曜日を問わず寄付ができる
・決済方法が選べる(一部制限のある場合もあります)
・ワンストップ特例が(通常と同じ条件下で)利用できる
というメリットがあります。

ふるさと納税サイトのアプリでは災害特集ページのないものもあったので、インターネット上のトップページから入るのがいいようです。

  • 災害支援ページ・支援金募集のある主なふるさと納税サイト
    ふるさと納税サイト「ふるなび」
    さとふる
    ふるさとチョイス
    楽天ふるさと納税
    auPAYふるさと納税
    マイナビふるさと納税
  • その他の支援金
    日本財団は、NPO法人の現地の活動支援のための支援金基金への寄付を募っているようです。

NPO法人が被災された方に寄り添った活動をしてくれるならば、よりきめ細かな支援となりそうです。

寄附金控除について

個人の所得税において「義援金配分委員会が設置され、そこを通して最終的に被災された方へ届く義援金」と「ふるさと納税」は、実は税額計算上は同じ括りとなります。 個人負担が2,000円となる限度額は・・・と話題になる計算において、どちらも集計の対象になります。

法人の場合は、義援金も自治体への寄付も「指定寄付金等」に該当し、全額が損金の額に算入されます。

一方、日本財団への寄付は、所得税法上は「税額控除」と「所得控除」の選択適用となります。
税率の高い納税者(適用している最高税率が40%超)の場合は所得控除のほうが有利となります。
先の話になりますが、令和6年分の確定申告の実務に出てきたときは、有利判定するよう注意しておきましょう。

また、日本財団への寄付は、住民税の計算においては、納税地の都道府県や市区町村が指定している場合にのみ税額控除の対象となります。

そして、公益財団法人である日本財団への寄付は法人税法上「特定公益増進法人等に対する寄附金額」となります。義援金や地方自治体への寄付とは異なり、全額損金算入とはなりません。 別表十四(二)の作成時に全額損金算入の「指定寄附金等」や損金算入限度額の低い「その他の寄附金」(神社への初穂料などが該当)としないよう、気を付けてください。

※税法上、「寄付」の表記は「寄附」となります。

まとめ

被災した地域や被災された方へ何かしたい思いがあっても、「個人単位の救援物資」や「準備が不十分なボランティア」はかえって現地へのご迷惑になることもあります。
思い立ってすぐ実行できるのは、やはり募金かなと思います。 上記にご紹介したほか、携帯電話キャリア各社やYahoo!などでも寄付を募っていますね。

「節税のためにこの寄付をするのではないのだから、寄附金控除を使って国税や地方税の納税額が減るのには罪悪感がある」という方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
そういう方は、確定申告で寄附金控除を適用しなければ大丈夫です。 (ふるさと納税として寄付をした場合で支援金を税額計算から除外したいときは、ワンストップ特例を利用しないようにしましょう。)

税理士事務所にお勤めの方で、担当先や「担当先の取引相手」が被災したという方に見ていただきたい、税制上の情報がまとめられている国税庁ホームページはこちら。

消費税の簡易課税制度選択届出書の特例承認申請など、知らないと動けない特別な規定もあります。
また、毎年どこかで何かしらの自然災害が起きてはいるのですが、特に今年は税理士試験に災害関連の規定が出題される可能性が大なので、受験生は一通り目を通しておきましょう。

8chunmama

被災された方が、少しでも早く心の平穏と元の生活を取り戻せますように。

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