こんにちは。8chunmama(はっちゅんママ)です。
今回は、税理士事務所への就職・転職が決まった方へ、初出勤日に押さえておきたいこと、初出勤日ではなくてもいいのでタイミングを見て探りを入れておきたいことをご紹介します。
大きい企業にお勤めの経験がある人には想像し難いかもしれませんが、規模の小さい事務所では、新しいスタッフさんを迎えるのに慣れていなかったり、全員が自分の仕事に手一杯だったりで、新規採用の人に何も教えてくれないということがあり得ます。
ですので、「先にそれ教えてよ!」という人が1人でも少なくなるよう、私や周囲の経験を踏まえて、細かな点も含めてリストアップしてみました。
新しいスタッフを迎える側の立場の方も、入社日に何を伝える必要があるのか、参考にしていただければと思います。
初出勤日に確認しておきたいこと
- タイムカード、出勤簿、業務日報
タイムカードを機械で打刻する・しないは事務所の規模ではなく方針で変わってきます。
また、税務会計ソフトで日報や勤怠管理していることもあります。
かと思えば、日報は書かなくてもよい事務所があったりもします。
なお、時給での給与や残業時間の管理の場合、何分単位でのカウントになるのかの確認が必要です。
30分単位や15分単位が定番ですが、1日あたりは分単位・それを1か月間で集計して30分(15分)単位、という事務所もあります。
日報を書く場合にはどのような感じなのか、自分と業務内容が似てそうな人に見ても支障のない日の日報を例として見せてもらうとよいでしょう。
タイムカードは給与計算以外でも重要な役割を果たすことがあります。
税理士の登録要件の実務経験を証明する際、フルタイム勤務ではなかったり、大学院に通学しながらの勤務だったというというときはタイムカードや出勤簿を税理士会に提出する必要がある場合があるのです。
もしあなたがそういうお立場で、事務所にそれらの勤怠管理の書類がないと分かったら、新たに作ってもらうようお願いしましょう。
また、紛失やデータ消失、個人事務所の場合には代表者の廃業に備え、給与明細とともに自分でデータを保存しておくのがよいかもしれません。
- 交通費の精算方法
前回の記事
で定期券や回数券についてご説明しましたが、自分でそれらを購入する場合にも給与の締日ごとに精算する場合とその都度精算の場合がありますので、どのように精算するのかを確認しておきましょう。
- 急な欠席・遅刻時の連絡相手・連絡方法
これも前回の記事
でご説明したとおりです。
事前に聞けなかったときは初日に必ず確認しておきましょう。
- 携帯電話のルール
仕事中に自分の携帯電話はマナーモードにするだけなのか電源を切るのか、幼稚園・学校・学童保育からの連絡は自分の携帯がよいか事務所の電話がよいか、など、できれば朝に確認しておきましょう。
- 主要な人の名前と座席
10人以上いる事務所に入ると、一気には名前と顔が一致しません。
担当者は外出していることが多い事務所もありますし、そうでなくても記憶力が落ちた大人は固有名詞を覚えられません。
近くの席の人、世話係の人、直属の上司など最低1~2人は押さえておいて、もし他の人の名前を忘れた時にこっそり教えてもらえるようにしておきましょう。
座席表が配られないときは、自分でメモ帳に簡単に図を描いて、名前と特徴を書いておくと良いでしょう。特徴は、万が一誰かに見られてもいい言葉で、眼鏡の有無、髪型程度にしておきます。
新しい仕事内容に加えて同僚の名前を覚えるだけでも大変なのに、一気に10~20人のパーソナリティは覚えられません。聞いても忘れます。
世間話をするようになって住んでいる地域やお子さんの性別・学年などを聞いたらメモしてもいいかもしれませんが、メモをしていることに気付かれると警戒されるおそれもあります。完全にパーソナリティを覚えられないのはお互い様なので、名前以外は本人に恐縮しながら聞き直しても良いかと思います。
なお、担当者の担当顧問先は電話をつなぐときにも重要ですので、メモすることは歓迎されると思われます。
- 電話応対のルール
電話は新人が取る・最年少が取る、というルールの事務所もあれば、電話応対は対外的なもので大切だからと特定の人だけが電話を取るという事務所もあります。
正社員が取る/パートスタッフが取る、という真逆のルールの事務所もそれぞれあるでしょう。
仕事に慣れてきて、よくかかってくる顧問先名がなんとなく分かってきたら新人が取る、というルールの事務所もあります。
また、誰からの電話かが電話帳データから表示されていたら担当者が取る、という暗黙の了解の事務所もあります。
電話を取った方がいいのかな、どうしようかな、とモヤモヤしなくていいように、初日に確認しておきましょう。
細かい話になりますが、電話が掛かってきたら、「何コールまでに取る」、「2コール鳴ってから取る」、というルールがある事務所もあるでしょう。こういうルールは入社から時間が経つと質問しにくくなるので、何かルールがあるか聞いておいた方がよいです。
- 来客時のルール
来客があった時、
インターホンに出るorノックが聞こえたらドアを開ける
応接スペースに通す
お茶をお出しする
というのを誰がするのか、電話応対と同様に確認しておきましょう。
面談スペースのエアコンをつけたり、空気清浄機をつけたり、ということも必要かもしれません。
お茶・お湯・湯飲み・茶托やコースターはどこにあるのか、お客様が帰られてから湯飲みを洗うときの決まりごとも聞いておきましょう。
また、デスクでは室内履きを履く事務所の場合は、来客時に靴に履き替える必要があるか、事務所ルールの確認もしておくとよいでしょう。
来客へは全員お茶を出すのか、何を飲みたいかを聞くのか、面談に入る職員にもお茶を出すのか、来客用と職員の普段飲む用のお茶は別のもの、などのルールがある場合もあります。
何も教えてくれない事務所があるかもしれないので細かく確認事項を挙げましたが、あまり最初にこちらから細かく聞きすぎると「変な人」と思われるかもしれません。
まずはお茶をお出しする立場かどうかを確認しておき、もしそうであれば来客があった時にまずは一通り教えてもらいながら実際にやってみて、それでも分からないことがあったら不明点を聞くとよいです。
- お昼休憩のルール
朝一番に説明してもらえなかったら、12時頃になったら聞いてみましょう。
お昼休憩は時間を敢えてずらして取る、電話当番がある、昼食を取る時は別室へ行く、事務所が無人にならないよう外で食べてはいけない、など、何らかのルールがあることがあります。
45分休憩という事務所もあるでしょう。
逆に、自分の業務の都合の良いタイミングで、いつ食べてもいいという事務所もあります。
お昼休憩の時間ではないときに、隣の席の人が菓子パンを食べ始めてびっくりしたことがあります。
外出が多い担当者は昼食の時間が取れず大幅にずれることが多いので、そういうこともあります。
広い心で許してあげましょう。
- 掃除のルール
当番制だったり、気付いた人がすることになっていたり、何時何分から一斉だったり。
お昼休みにでも聞いてみましょう。
ゴミ出しのルールも聞いておきましょう。
- 給湯スペース、冷蔵庫のルール
スタッフが自由に飲んでも良い飲み物がある、私物のコップはここに置いておく、などは朝教えてくれたらよいのですが、教えてもらえなければ周りの様子を見て聞いてみましょう。
タイミングを見て探りを入れておきたいこと
- 給料の締日と支給日
これらは雇用契約書に書いているはずですが、雇用契約書を交わさない事務所もあるでしょうし、押印させて控えを渡してくれない事務所の場合には確認し損ねることもあるでしょう。
話題に上らなかったときは、締日・支給日のほか、提出する書類や提出先も併せて確認しておきましょう。
- 有給休暇の規定や所内カレンダー
初出勤日早々に自分から聞きにくいことですが、初日に説明がないならば、こちらが質問するまでずっと説明されないかもしれません。
有給休暇の申請方法、有給休暇は法定通りの日数か、試験休みがある場合にはその取り扱い、お盆休みや年末年始は一斉有給休暇なのか事務所の休業日なのか。
これらを確認するには、まず「社内カレンダーってありますか?」という聞き方が一番無難かと思います。そして、「そういえば、まだ先のことですが、」と、有給休暇の手続方法や規定について聞いてみましょう。
- 裏紙印刷、シュレッダーのルール
税理士事務所の意識の高さの違いにより、片面印刷した不要な紙の再利用や不要な紙の処分方法は様々です。
シュレッダーがあっても実際は手で破って可燃ごみとして処分している事務所。
片面印刷の紙を裏紙として再利用してはいけないという事務所。
機密文書は業者に回収してもらって溶解処分する事務所。
廃棄することになった元帳の束をそのまま紐で縛って古紙回収に出そうとした人。(※私が阻止しました。)
自分のこれまでの常識が新天地で通用するとは限りませんので、折を見て確認しておきましょう。
- 事務所トップとスタッフ、スタッフ同士の親族関係・人間関係
うっかり地雷を踏まないように押さえておきたいのが所内の人間関係です。
「所長とは名字が違う人がいるけど、実は娘さん(既婚)だった」
というような親子関係はともかく、学生ではないので、下世話な話は知っていてもわざわざ教えてくれないことが多々あります。
誰と誰がツーツーか、誰と誰が対立関係にあるのか、ということを確認しておきたいところです。
人間関係は本当に油断ならないので、第三者の話をするときはしばらく本人に聞かれても大丈夫な内容に留めておくのが無難です。
褒めるのならば大丈夫そうですが、犬猿の仲の一方の人に他方の人のことを褒めるのは避けたいものです。
また、新しいスタッフを受け入れる側の人は、何かの折にこっそり、あるいはさらりと教えてあげるのが親切というものです。
人間関係の地雷には立て札を立てておいてあげましょう。
- 誰が事務所のキーパーソンなのか
分かりやすく言えば、「影の支配者」やお局様は誰なのか、ということです。
年齢や性別、勤務形態に捉われていると、本質を見落とすこともあるので注意が必要です。
事務所によっては、所長は「裸の王様」「お飾り」で、番頭さんが事務所を回し、税務面での頼みの綱は所属税理士だ、ということがあります。
また、この人の機嫌を損ねては業務に支障をきたす、という人も押さえておきたいものです。
ご機嫌を取ることに神経をすり減らす必要はありませんが、キーパーソンたちが誰であるかを念頭に置いておくと業務の進行がスムーズになります。
まとめ
事務所が違えば習慣も違います。税理士事務所からの転職の人であっても事務所ごとにルールが違うことも多いので自分の中の「常識」が新天地では通用しないこともあります。
ましてや、初めての就職という人は、事務所でどのように振舞えばよいか全く分からなくて当然です。
分からないことは、早いうちに素直に確認して、モヤモヤのない環境で過ごせるようにしましょう。
大手企業に勤務していた人は、中小規模の税理士事務所に転職すると、色々な意味でカルチャーショックを受けることもあるでしょう。悪い習慣だと感じる点については、折を見て、上手に意識改革ができるといいですね。
今回の記事のうち、無難な項目のみ下記に再掲しておきますので、よろしければ勤務先でご利用ください。
- タイムカード、出勤簿、業務日報
- 交通費の精算方法
- 急な欠席・遅刻時の連絡相手・連絡方法
- 携帯電話のルール
- 座席表(あれば)
- 電話応対のルール
- 来客時のルール
- お昼休憩のルール
- 掃除のルール
- ゴミ出しのルール
- 湯スペース、冷蔵庫のルール
- 給料の締日と支給日、給与計算のための提出書類、提出先
- 有給休暇の規定や所内カレンダー
- 裏紙印刷、シュレッダーのルール