おすすめの本④ 相続関係 その2

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8chunmama

こんにちは。8chunmama(はっちゅんママ)です。

今回は相続税の申告やその調査段階に当たって、私が実際に参考にした本をまとめてご紹介します。(法改正等により改訂版が出版されているものは、最新版をご紹介しています。)
※本の写真下(PCでは横)の「Amazon」などのボタンを押すと、その本の目次や他の購入者さんのレビューが見られます。

目次

契約前の面談のことからカバーをする2冊

  • 岩下 忠吾・著『詳細 相続税―資料収集・財産評価・申告書作成の実務 (8訂補訂版)』(日本法令)

ドサッと分厚く重たい本です。通勤電車で読む本じゃないです。デスクで腰を据えて読んでください。
しかし、そのぶん多くの情報が詰まっている相続税申告のバイブルと言える1冊です。
財産評価や精算課税制度、契約前の面談、依頼人の親族との面談、申告書の様式の記入例、報酬の決め方など、相続税申告業務のすべてが解説されています。
岩下先生は税理士からの相続税の相談を受ける立場の方で、その中の案件を守秘義務の範囲内で紹介する研修をされています。過去に2回ほど受講しましたが、税理士が相談したような案件ですから、とても勉強になりました。

  • 税理士法人トゥモローズ・編『専門税理士が教える! 『相続開始後』でも提案できる相続アドバイス』(清文社)

タイトルがキャッチーですが、私が参考になると感じたのは、相続開始後のアドバイスよりも、初回面談やアフターフォローのほうです。税額の概算、相手別の話し方、財産のヒアリングなど、「こうしましょうね」ということが具体的に書かれています。
ちなみに、私が相続開始後でも提案できなかったのは、その案件がそういうケースじゃなかった、ということです。一応目は通しましたが、ダメでした。うまく該当するケースなら、活用できると思います。
スポット案件なら仕方ありませんが、相続開始前に対策をとっておく、というのが、あるべき姿ではあります。しかし、なかなかそうもいかないケースがあるのも実情です。

財産調査に役立つ2冊

  • 佐久間 裕幸・著『顧問税理士も知っておきたい 相続手続・書類収集の実務マニュアル(第3版)』(中央経済社)

こちらの本は自分が相続手続をする当事者になったときにも参考になりました。
相続手続は税務申告に関係することだけではありません。年金の手続きをしたり、電気ガス水道も、名義を変更や解約の必要がある場合もあるでしょう。そういった遺族の生活に関することから相続税申告に関係する手続ことまでを網羅的に紹介してくれている本です。
相続人の方から「何をしたらいいのか分からない」というご相談があるときに役立ちます。

前回ご紹介した

  • 川端薫、内田真由子・監修『家族が亡くなった時の相続・年金・保険などの手続き お葬式から遺族の暮らしまで』(税務研究会出版局)

よりも一層、実務家向けの内容となっています。
「することリスト」「必要な書類リスト」のようなものもあり、助かりました。
一連の相続手続の中で相続財産が新たに判明することもありますので、税理士事務所として相続人に相続手続きをスムーズにしていただけるように働きかけることが重要です。
なお、役所関係では認印は押印省略の書類が多くなっていますので、もし最新版の本でも押印となっていた場合はインターネットで様式を確認するなどしましょう。

  • 山本 和義, 西田 良, 本岡 聖子, 三浦 希一郎・共著『相続財産がないことの確認 ―見落としてはいけない遺産整理業務の要点』(TKC出版)

相続税申告で怖いミスは、税務署が容易に把握できる財産を漏らして申告してしまうこと。預貯金、株式、生命保険などは、たとえ家族が知らなくても税務署にはバレバレです。
防げるミスは防ぎましょうよ、ということで、財産の種類別に、財産の存在の確認方法や残高証明の取り方が解説されています。税理士が相続人から委任状をもらい、書類取得を代理で行う方法も紹介されています。この委任状のフォーマットにはずいぶんと助けられました。
何かが「ない」という証明は、「ある」という証明よりもエネルギーを使います。実はあったとなれば、色々と前提が変わってくることがあるかもしれません。
財産があってもなくても、照会手続きそのものに時間がかかりますから、早目にとりかかるようにしましょう。

土地の評価に役立つ2冊

  • 鎌倉 靖二・著『相続税・贈与税 土地評価実務テキスト (第3版)』(税務研究会)

相続税法の試験では土地の測量がされている状態で出題されますが、実務では土地を持っているのか、それはどこにあるのかを特定するところから、実際に現地調査をしに行かなければなりません。

土地の評価は、不動産鑑定士の先生が本業とするところです。一部の株価評価の場合を除き、土地は実勢価格と相続税評価額が同額ではありませんが、測量や減価要因などは共通するところがあり、不動産鑑定士の観点から書かれた本には大変助けられました。

税理士業界向けに相続税や贈与税での評価のために執筆されていますので、不動産評価のうち申告に必要なことだけが書かれていますし、財産評価基本通達特有の規定についても解説されています。基本事項や土地の減価要因はもちろんのこと、現地調査でのチェックリストや持ち物、役所調査についてなど、相続税法の勉強では教えてくれないことも盛りだくさんでした。
税理士会の研修でも、鎌倉氏ではありませんが不動産鑑定士の先生が講座を担当されたことがあります。餅は餅屋。土地評価の専門家による講義はとても勉強になりました。

  • 名和 道紀、長井 庸子・共著『路線価による土地評価の実務 〈令和5年8月改訂〉』(清文社)

こちらは毎年改訂されているものです。

税理士試験勉強(特に年内完結コース)ではあまり深掘りされない土地の評価についてだけで、厚さ1cm以上の本になっています。
土地の評価は財産評価基本通達に基づいているわけですから、国税庁ホームページと共通する内容も勿論あります。
しかし、事例が多く各解説が充実していて親切である点、冊子として色々な例に目を通すことで自分の思い込みの範囲外で該当項目が見つかるという点で、インターネットを使って自分で検索する以上の情報が得られます。

まとめ

相続税法の試験勉強の知識だけでは、相続税の申告はできません。税額計算に至るまでのことは、今回ご紹介したような実務書を参考にしながら、経験を積んでいきましょう。
相続税法や関連する措置法、通達は改正されますが、相続税申告の基本は変わりません。今すぐに業務で必要というわけではないならば、古い版を安価で買って手元に置いて目を通し、基礎知識を頭に入れておくのもアリだと思います。
ただし、実際に申告したり、将来の相続対策の案件を担当するときは、法改正・通達改正に注意しましょう。

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