こんにちは。8chunmama(はっちゅんママ)です。
6月・7月は税理士試験の全国公開模試の季節です。
全国模試は自分のその時点での相対評価を知る有効手段ですが、取り組み方次第では裏目に
出てしまうことも。
そこで、今回は税理士試験の全国模試を余すところなく活用するための方法をご紹介します。
全国模試の試験対策はしなくていい
試験対策をしなくていい、というのは、何も勉強をしないという意味ではありません。
全国模試用のヤマ当てをしてはいけない、ということです。
既に直前期の答練に出た理論は出ないんじゃないか、とか、まだ直前期の授業で扱っていないから出ないんじゃないか、とか、そういう予想は一切しないでください。
全国模試は本試験と同じ出題範囲の法令等から出される、それだけです。
最重要であるAランクの理論は勿論のこと、Bランクもできるだけ詰め込んで臨んでください。
Cランクの理論を完全には覚えていない場合も、せめて結論は書けるよう、内容の理解はしておきましょう。
また、できるだけ会場での受験が望ましいですが、地理的・時間的に難しいこともあるかと思います。その場合には、自分でタイマーを掛けるだけでなく、家族・友人の協力を得られるならば試験監督をしてもらったり電話連絡等でタイムキーパーをしてもらったりするなど、緊張感のある受け方をしてください。
全国模試当日
持ち物
全国模試は本試験の流れをシミュレーションするチャンスです。
時計・電卓・ペンなどは本試験で使う予定のもの、またはそれと同じ型のものを用意しましょう。
セロハンテープで予備のペンや受験票を机に貼り付けると便利なのか、耳栓ってどうなのか、時計が腕時計と置くタイプの時計のどちらが自分に合っているか、など、ネットで薦められているグッズや方法を試してみるのもよいと思います。
勉強道具は最低限のもの、理論暗記用の本と弱点ノート(間違い直しノート)だけでもよいかと思います。会場までの道のりと試験開始までの時間に見合った分量のみ持ち歩きましょう。
荷物は一つにまとめて持って行ったほうが、会場に置き忘れて帰る悲劇を避けられます。
その他にも、飲み物やハンカチ、このご時世なので手指消毒用ジェル、冷え性の人はひざかけや
羽織ものなど、各自で本試験をリアルに想像して必要なものを準備していきましょう。
逆に、あれを持って行っておけばよかった、という反省点が全国模試受験時にあれば、手帳や
スマホ、ふせんなどにメモしておきましょう。
問題冊子と答案用紙が配布されたら
全国模試は問題冊子と答案用紙の配布方法や順番が忠実にされているかと思います。
まず、答案用紙が裏向けて机に置かれ、次に問題冊子が配られます。
全員に問題と答案が行き渡ったところで、答案用紙を表に向けるよう指示があり、その後、受験番号や氏名、受験地を答案用紙の指定箇所に記入し、試験開始の合図を待ちます。
第61回(2011年)の本試験までは問題冊子の表紙から中の問題が透けて見えていましたが、翌第62回からは透けて見えないように表紙裏に模様が印刷されるようになりました。問題冊子を透かし見て理論を思い出したり柱を挙げたりする、というフライングは不可能です。
しかし、この試験開始前の数分の時間を有効活用しない手はありません。
10年以上前の本試験は、答案用紙はほぼ枠や罫線だけでしたが、近年は答案用紙の印刷は理論や計算の出題内容が窺える内容になってきています。
見るべきポイントは次の通りです。
【簿記論】
- 大問ごとのボリューム
- 第三問の貸借対照表などに何の科目が印刷されているか
【財務諸表論】
- 理論で項目名そのものが既に印刷されているか
- 計算問題で(問2)として個別問題や理論の穴埋め問題などはあるか
- 計算問題の財務諸表に何の科目が印刷されているか
【税法科目】
- 共通・・・理論で項目名そのものが既に印刷されているか
- 法人税法・・・計算問題の各項目の計算過程を書くべき場所が指示されていれば、その内容。
別表形式の解答欄は何が要求されているか。 - 消費税法・・・計算問題は1つの会社・1人の個人事業者についてのみ要求されているか。
売返(返還等対価の額)など、いつもより広く枠が取られている項目はないか。 - 国税徴収法・・・給与の差押可能額の計算を要求されていそうな枠になっていないか。
- 相続税法・・・計算問題はどのタイプの枠での要求か。財産名が印刷されているか。
上記の答案用紙の分析は、くれぐれも、氏名の記入もれや受験番号の転記ミスがないかを先に指差し確認してからにしてください。
試験開始前に一番大切なことは、受験番号等を正しく記入することです。また、記入後に無駄な動きをすることもよくないので、答案用紙の印字の確認はサッと済ませ、あとは頭の中で理論の出だしを思い出すなどしておきましょう。
試験開始
試験開始の合図があったら、問題冊子のページすべてに目を通し、乱丁・落丁がないか確かめます。問題の最後のページを見落とさないよう、どのページまで印刷されているか確かめましょう。正誤が発表されている場合は、すぐにそのように冊子を修正します。
最初の5分くらいは、問題の全体を見て第何問に何分の時間をかけるかの配分や解く順番を考えたり、理論の柱挙げなどに割きます。
時間配分については、科目・個人の得手不得手・問題のボリュームによりますので、今回は割愛します。
どの科目についても言えることは以下の通りです。
- 私の経験上、本試験の理論用答案用紙の枚数は模範解答に対して1枚以上多めに配られたことはありませんでした。(用紙の半分程度が余るということは、古い形式の用紙ではありました。)自分が思った文章量より答案用紙が1枚多いのはフェイクかと思ったときがありましたが、それは私の挙げた柱が足りないだけでした。
また、逆に、ある科目について、理論をベタ書きすると用紙に収まりきらないような少なめの枚数にしてあり、要所要所をまとめて書かなければいけないという年はあったそうです。
ご参考まで。 - 判断に迷った問題は「?」などの印を問題番号に付け、自分はどちらで解答したかも記録しておきましょう。
- 聞いたことのない論点でも、立法趣旨を考えて判断し、何かしら概要や結論だけでも書いておきましょう。
「講義では取り扱ったが、時間的に足りないから捨て問」という問題と、「習っていないが拾うべき問題」があります。聞いたことのない論点をわざわざ出題しているときは立法趣旨を理解できているかを問うていることが多く、逆に全くの白紙解答にすべきではありません。
本試験ではどこが出題されるか分からないのですから、全国模試でも敢えてテキストで一切触れていない論点を出題し、応用力を試す問題が出されることも多々あります。そういったときにも慌てず、何らかの爪痕を残す練習・時間を掛けすぎない練習だと思って、今の実力を答案用紙の上に表現しましょう。
「時間になりましたので、筆記用具を置いて解答をやめてください」と言われたら
「時間に」が聞こえたからといって、慌ててすぐに手を止めてはいけません。
「やめてください」と言い終わるまでは粘れます。粘ってください。
試験監督の指示のとおり、受験番号や氏名の記入漏れがないかの再確認もお忘れなく。
解答冊子を手に入れたら
模試の出題予想は不要でしたが、解答冊子が配られてからの復習は重要です。余程の捨て問でない限り、もし本試験で同じ論点が出た場合には正解できなければ非常に不利になります。
全国模試の実施される頃には本試験の問題作成自体は完了しており、全国模試で出題されたからと言って出題委員がその論点を避けることはできません。同じ論点が出題されることもあり得ます。覚えていなかった理論は必ず覚えましょう。その模試の受験者はそれを覚えて本試験に臨んでくるからです。理論暗記の本に載っていない条文が全国模試に出された場合も、丸覚えするくらいの気持ちでいてほしいですが、せめて結論や数字など要所要所は覚えておきましょう。
また、解答時に結論を迷って「?」印を付けた計算問題は正解でしたか?迷って結局どっちを選んだのか、正解はどっちだったのか。「以下」と「未満」、「以上」と「超」、消費税法の税区分など、迷いすぎて結局自分の解答も正解もどっちだったのか分からなくなるときがあります。迷う問題は、おそらく皆が迷う問題です。ということは、点数の差がつきやすいので出題の可能性が高い論点とも言えます。模試で得点できたかどうかなんて、どちらでもよいのです。迷った論点の結論をしっかりと定着させ、本試験で確実に得点しましょう。
答案が返却され、成績表が届いたら
答案と成績表が送付されたら、自分の点数を見て、成績表が何判定かを見て終わり、ではありません。
答案は、自己採点どおりの〇×だったか、自覚していないミスはなかったか、理論はどこがどう違っていて減点となったのか。隅々まで見直し、本試験のために現実と向き合ってください。
また、TAC
成績表については、TAC
また、全体の判定がSやAでもその後に気を緩めれば本試験が残念な結果になりますし、悪い判定だったとしても全国模試のヤマを当てに行かなかったことが理由かもしれず、まだ逆転のチャンスはあります。成績表が送付されてからでも本試験までまだ1か月以上ありますから、気を引き締めて勉強を続けていきましょう。
ちなみに、成績分布表で、予告なしの模試なのに90点台を叩き出している人がいます。その科目が初受験の人にとっては意味不明で、その人たちと自分との点差に落ち込んでしまいがちです。しかし、その人たちは2年目以上の受験ことも多く、その科目全体の勉強を3回転4回転していたり、科目の問題慣れをしており、模試の時点で既に仕上がっているからそのような高得点が取れるのです。全国模試受験日から本試験まで1~2か月程ありますので、その期間の努力次第でその集団に追いつき、追い越すことも可能です。
解き直し
模試には答練と同様に解き直し用の問題冊子と答案用紙が配布されます。
受験専念型で理論暗記も問題を解く時間も十分に時間のある人は、120分を使って理論と計算の両方を解き直してもよいかと思います。
そうでない人も、理論は柱挙げができるかを解き直し、計算問題だけでも解き直すべきです。計算問題の解き直し方法としては、
①通常の時間配分より時間がかかっても一度全部ちゃんと解いてみる方法
と
➁捨て問は捨て問として本番同様の時間配分で解く方法
があります。
しかし、上記①と②の各方法で2回も解き直す時間はないという人がほとんどだと思います。捨て問だった問題も一度はそこだけを取り出して個別問題としてチャレンジしてみて、総合問題としては②の方法で解き直すのがよいかと思います。
まとめ
全国模試は通過点に過ぎませんが、本試験に近い緊張感を味わえる貴重な機会です。
受験が初めての人も、本記事を参考にその機会を有効活用してください。