税理士試験 税法科目の選び方② ~私の場合 その2~

税理士試験
8chunmama
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こんにちは。8chunmama(はっちゅんママ)です。

税理士試験は科目選択制の試験。年齢や人生プラン、家庭内での役割等で税法科目の選び方は様々かと思います。

少しでも皆さんの参考となるよう、まずは数回に分けて私自身が税理士試験の税法科目3科目を選んだ経緯・理由をご紹介する、今回は第2回です。

法人税法を選択した理由

私が財務諸表論と消費税法に挑戦し、自己採点で合格ラインを上回っていた直後の9月から勉強を始めたのは法人税法でした。
なぜ法人税法を選択したのか?それは、「法人税法が分からなければお話にならない」と実務で実感していたからです。
仕事では就職1年目から法人税の申告書を先輩税理士の指導の下で作成していました。過去の別表(=申告書の様式)を見ながら、まずは見様見真似で手書き作成し、会計コンピュータに入力して手書きと一致しているかを確認していました。しかし、根本的に別表どうしの繋がりを理解していたわけではありませんので、前年と予定納税の有無や還付といったパターンが違ってくると混乱し、似たようなパターンの法人の申告書を引っ張り出して来なければ正解に辿り着かないこともありました。
官報合格するならば法人税法と所得税法の少なくとも片方は合格しなければいけません。法人税法の勉強開始時には既に何度か所得税の確定申告を経験していた私ですが、事務所の顧客に特殊な業種や譲渡所得が少ないということもあり、年に一度の確定申告なのだからと特に所得税法の勉強は喫緊の課題とは思わず、それよりは毎月ある法人税の別表の仕組みを理解することが先決でした。所得税法は法人税法と共通した規定も多く、法人税法を理解すれば何とかなるだろう、と考えたのです。
私が本格的に法人税法を勉強し始める前年に、「本科生パック」の受講可能科目数MAXになるよう法人税法の年内完結コースを申し込んだため、実は法人税法の教材が手元にありました。しかし、その教材をさらっと読んだだけでは理解できなかったのも、本腰を入れて勉強しようと思う伏線となりました。授業を受けなくては理解できない、と痛感したのです。

先輩税理士が法人税法を選択した理由

そろそろ消費税法の次の科目を決めようという頃、法人税法を選択した先輩税理士に、なぜ所得税法ではなく法人税法を選択したのかと聞くと、「法人の所得は一種類だけだから。」という答えが返ってきました。
所得税の世界では、所得はその発生形態等に応じて給与所得・不動産所得・事業所得・配当所得・退職所得・利子所得・譲渡所得・山林所得・一時所得・雑所得に分類され、収入金額や利益金額がそのまま所得の金額になるわけではなく、所得の種類に応じ、計算式等に当てはめて所得の金額に辿り着きます。何所得かという判断を誤れば、その時点で試験では得点できませんし、実務上も税額を誤る元となります。事業所得か雑所得か、一時所得か雑所得か、実務上で判断に迷い、念のために確認するということは多々あります。
その点、確かに法人税の世界では企業の当期純利益に対して、税法上の規定を適用して加算・減算して所得金額を算出するので、所得の種類での迷いはありません。
受験者個人によって法人税法・所得税法との相性があると思いますが、確かに法人税法はシンプルな所得の扱いだ、と私も感じます。
ただし、所得税法を受験しないということは、所得の種類の分類の訓練を受けずに済んでしまい、個人の確定申告について条文と実務上の経験を頼りに判断していくわけですから、「その所得が何所得か」という反射的な判断が苦手になるということは念頭に置いておいたほうがよいと思います。
また、別の先輩税理士で、所得税法を選択し、法人税法は実務での経験値や独学のみ、という方は、「別表4と5が分からんわー。『減の減』の意味が分からん。」と言っていたそうです。その方の実務経験の年数的には、実際のところは分からないことはないと思うのですが、座学で向き合っていないと根本的な理解が深まらない、ということはあるのかもしれません。

法人税法の理論の数は多い、というけれど

受験生が法人税法を避ける理由の一つが、理論の数が多い、ということです。
確かに、理論暗記教材の分厚さからしても、一目瞭然です。私も、法人税法を勉強し始めた年には「こんなの全部覚えるのは無理!」と思いました。
しかし、法人税法は圧縮記帳や組織再編といった理論のまとまりがあり、一つ理解できれば理論の核となるものが共通していたりします。
また、理論の数が多いということは、たとえばある年の理論問題に「買換の圧縮記帳」という論点が出されたら、翌年にそれが理論で出ることはまずないでしょう。もっと出題すべき論点が他にあるのですから。(計算問題の中で翌年に出題されることはあります。)ただし、あまりに気を抜いてしまうと、他の圧縮記帳の論点が理論で翌年出題されることは十分にあり得ますのでお気をつけて。
また、計算の要素が大きい論点は計算で出題すればよいので、あまり理論問題として出題されることはないように思います。
理論問題で法人税法22条や22条の2に絡んだ論点が頻繁に出題されるのは、それが法人税法の基本や原則であり、一つの経済取引に対し、色々な解釈のパターンを述べさせたり、唯一の解釈である場合にはその判断に至る思考過程を言葉で説明させたりして、法人税法の本質的な理解ができているかを問えるからです。逆に、そういう問題を計算問題で問えば、「考え方は間違っているのに計算結果は合っている」「2分の1の確率でたまたま当たった」ということもあり得るので、計算問題では理解しているかの判断しにくいのです。
理論問題では、最低限の理論はもちろん覚えておかなければいけませんが、「これはどっちだろう?」と思う問題で常に正しく判断できることが重要です。間違った方を選べば、書いてある規定の文言が正しくても得点にはつながりません。
法人税法の勉強初年度は目の前の課題をこなすのが精一杯で、なかなか俯瞰して法人税法や関連措法の規定を見る心の余裕はないかもしれません。しかし、立法趣旨も含めて規定を理解し、体系立てて覚えると、合格に近づけると思います。
くれぐれも、「~~の場合において、・・・のときは、」までの暗記で力尽きて、「結論は何だったっけ?」とならないように、条文の主語と述語もしっかり押さえましょう。

法人税法を勉強するメリット3つ

「法人税法は実務でよく使うので分かっているから、受験科目は所得税法にしよう」という人もいるかと思います。それもアリかもしれません。ただ、私は次の3つの点で法人税法を勉強してよかったと思います。

・実務に直結している
まだ実務についていない方、特に学生の方であまり想像できていない方もいるかもしれませんが、法人の申告は3月決算・5月申告のみならず、一年を通して毎月あります。資産税に特化している事務所ですら、資産税対策で法人を設立しているために法人の顧問先が多いということもあります。
このため、一般的な事務所に勤務する場合、日々、法人税と消費税の判断・計算をし、顧問先の節税等を考えることとなります。
法人税法の勉強をしていなくても巡回監査の担当はケーススタディで日常の業務は支障ないこともあります。ある規定が担当先に適用されるかどうかについて、本やネットで調べれば分かることであっても、その規定に該当・抵触しないか確認すべきことだと念頭に置いていなければ、判定自体をスルーしてしまってトラブルの元となることもあります。
たまにしか出てこない論点も含めて一通り勉強しなければいけないのが受験生。頭の片隅に規定のキーワードが残っていると、レアケースに遭遇しても規定を思い出して対応できます。細かな規定は忘れても、その規定の存在を思い出せればよいのです。料理で各食材の分量や調理時間を覚えていなくても、材料をみて献立を思いつけば、あとは詳細なレシピを検索すればいい、というのに似ているかもしれません。
法人税法を勉強するのはもう少し先だという人は、今取り組んでいる簿財等に全力を注いでいただきたいですが、将来もし所得税法を選択しても、法人税法の勉強は避けて通れない、ということは覚えておいていただきたいです。
※所得税法にしかない規定はたくさんありますので、逆も然り、です。

・条文の読み方を理解しているので、法改正が入っても新しい条文を見て理解することができる
せっかく覚えたのに、時代の要請から削除されたり時限立法だったために消えていった条文は複数あります。しかし、法改正は覚悟のうえで税理士を目指し、税理士になりました。
法人税法はカッコ書きが長く、ぱっと見でめまいがしそうなことは正直ありますが、必要に迫られて向き合う条文はきちんと解釈する力がつきました。

・転職活動の時にアピールになる
法人税法を合格しているということは、転職活動の上で非常に武器となります。
私は法人税法合格・官報合格前というタイミングでは転職活動していませんが、同じ官報合格でも何を合格しているかということは採用時に必ず聞かれます。法人税法に合格していると、「ちゃんと税法を分かっているんだな。」と普通は思ってもらえます。私は税法3科目めが国税徴収法ですが、それはライフステージのタイミングの問題だったんですよ、で説明が通りました。
また、私の現職場での採用活動で、ある転職サイトに登録している方々の科目の取得状況を見ると、40歳以下に絞ると法人税法の合格者は圧倒的に少ないので、法人税法合格というだけで目を引きます。そして、ボリュームの多い法人税法に合格したということは、他の税法もそのうち合格するだろう、と期待されるのです。転職サイトによっては、積極的に公開しなければ学歴が求人事務所側に公開されないものもあり、学歴の高さよりも合格科目は明確なアピールポイントとなることがあります。
税理士事務所によっては、法人税法合格者が採用選考の過程または採用後の待遇で有利となる事務所もあります。最近では法人税法合格者がレアになってしまったのか、とにかく担当者がほしい事務所はわざわざ「法人税法合格者優遇」と書くことも少なくなってきましたが、採用選考にあたって有利であることに変わりありません。

まとめ

以上、私が法人税法を選んだ経緯やメリット等をご紹介しました。
既に実務についている人は法人税法を先に、まだ会計業界に身を置いていない人は確定申告で身近な所得税法を先に、受験科目として選択する傾向にあるように思います。所得税法を選択するのがいけないのではありません。ひとつずつであっても、所得税法と法人税法の両方を勉強するのにはエネルギーが要るため、先に合格したほうのみの受験になる場合もありますので、税法の選択は戦略的にしたほうがよいと思われます。
今回の記事が、皆さんの税法選択の参考としてお役に立ち、特に実務につかれていない方が税法選択の視野を少し広げるきっかけになれば幸いです。

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