こんにちは。8chunmama(はっちゅんママ)です。
これまでも数回改正されてきたふるさと納税の制度。
令和5年10月1日寄附分からも改正点があるのですが、これは総務省告示の文言が改正されたことによります。
今回はふるさと納税の概要をおさらいしつつ、改正告示を確認し、ふるさと納税を多くされている担当先の質問に答えられるようにしていただきたいと思います。
最後におまけで代表的なふるさと納税サイトのご紹介もしています。
色々あってどれがよいか迷うという人は参考になさってください。
ふるさと納税の控除額の概要と根拠条文番号
ふるさと納税の控除額の計算式は、国税庁HPで次のように概要が示されています。
① 所得税
(ふるさと納税額 - 2,000円)を所得控除(寄附金控除)
(所得控除額 × 所得税率(0%から45%が軽減(注))
所得控除の対象となる寄附金の額は、総所得金額等の40%が上限です。② 個人住民税(基本分)
(ふるさと納税額 - 2,000円) × 10%を税額控除③ 個人住民税(特例分)
(ふるさと納税額 - 2,000円)× (100% - 10%(基本分)- 所得税率(0%から45%(注))上記①および②により控除できなかった額を、③により全額控除(所得割額の20%を限度)します。
(注) 平成25年分から令和19年分については、所得税率が0%である場合を除き、復興特別所得税を加算した率となります。
税理士試験で所得税法と住民税を選択された人はご存知かと思いますが、ふるさと納税の法律上の根拠は、所得税法と地方税法(道府県民税・市町村民税)にあります。
上記①は
「所得税法第78条(寄附金控除)」
を根拠とする所得控除です。
そして②の(基本分)は
地方税法 第二章 第一節 第二款(個人の道府県民税)
「第37条の2(寄附金税額控除)」
と
地方税法 第三章 第一節 第二款(個人の市町村民税)
「第314条の7(寄附金税額控除)」の各第一項
を根拠とします。
③の(特例分)は
地方税法 第二章 第一節 第二款(個人の道府県民税)
「第37条の2(寄附金税額控除)」
と
地方税法 第三章 第一節 第二款(個人の市町村民税)
「第314条の7(寄附金税額控除)」の各第一項の「特例控除額」と、その算式を規定した同条第十一項
を根拠とします。
地方税法でセットとなっている各条文は、税率の箇所を除いてそれぞれほぼ同じ条文構成となっています。
(※都民税と特別区民税については読替規定や準用により上記地方税法の各規定が適用されます。)
このように、所得税と住民税(道府県民税と市区町村民税)の両方を合わせて考えて、初めてふるさと納税のいわゆる「限度額」の計算の根拠となります。
各条文を読み込む記事を書こうと試みましたが、いざ書いてみると超大作になって本題の改正項目まで辿り着けなさそうだと途中で悟ったので、今回は割愛します。
でも、自分の「条文を読む」トレーニングになりました。
令和5年10月1日からの制度の改正点
ふるさと納税は自治体とのいたちごっこで幾度となく制度が改正されてきましたが、今回の改正の概要は以下の通りです。
<主な改正内容>
総務省 令和5年6月27日付 報道資料より
・ 募集に要する費用について、ワンストップ特例事務や寄附金受領証の発行などの付随費用も含めて寄附金額の5割以下とする(募集適正基準の改正)
・ 加工品のうち熟成肉と精米について、原材料が当該地方団体と同一の都道府県内産であるものに限り、返礼品として認める(地場産品基準の改正)
ワンストップ特例制度を受けるための自治体あての返信用封筒が受取人払いの場合にはその費用も含まれますし、ふるさと納税ポータルサイトへの手数料も勿論含まれます。
ただし、感謝状は含まれないとのこと。(『ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A』より)
令和5年9月30日までの返礼品の寄附金額に対する率が上限ギリギリだった自治体は、返礼品が目減りしたり、同じ返礼品に対する寄附金額が高くなったりする可能性があります。
また、他県産・外国産の牛肉から作られている熟成肉や他県産米の精米は、NGということになります。
具体的な改正告示の文言はこちら。(適宜文字の大きさを変え、傍線は下線として付しています。)
傍線(下線)部を中心に目を通してみてください。
○総務省告示第二百四十四
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項の規定に基づき、平成三十一年総務省告示第百七十九 号(特例控除対象寄附金の対象となる都道府県等の指定に係る基準等を定める件)の一部を次のように改正する。
令和五年六月二十七日
総務大臣 松本 剛明次の表により、改正前欄に掲げる規定の傍線を付した部分をこれに順次対応する改正後欄に掲げる規定の傍線を付した部分のように改める。
(募集の適正な実施に係る基準)
第二条 法第三十七条の二第二項第一号及び第三百十四条の七第二項第一号に規定する総務大臣が定める基準は、次の各号のいずれにも該当することとする。
[一 略]
二 地方税法施行規則(昭和二十九年総理府令第二十三号)第一条の十六第二項に規定する指定対象期間(カッコ内省略)において第一号寄附金の募集に要する費用(法附則第七条第二項に規定する申告特例の求めに関する事務、第一号寄附金の受領を証する書類に関する事務など、当該募集に付随して生ずる事務に要する費用を含む。)の額の合計額が、当該指定対象期間において受領する第一号寄附金の額の合計額の百分の五十に相当する金額以下であること。
(法第三十七条の二第二項第三号及び第三百十四条の七第二項第三号の総務大臣が定める基準)
第五条 法第三十七条の二第二項第三号及び第三百十四条の七第二項第三号に規定する総務大臣が定める基準は、地方団体が提供する返礼品等が、次の各号のいずれかに該当するもの(当該各号のいずれかに該当する返礼品等とのみ交換させるために提供するものを含む。)であることとする
[一・二 略]
三 当該地方団体の区域内において返礼品等の製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じているものであること。ただし、当該工程が食肉の熟成又は玄米の精白である場合には、当該地方団体が属する都道府県の区域内において生産されたものを原材料とするものに限ることとする。
[四・五 略]
六 前各号に該当する返礼品等と当該返礼品等に附帯するものとを合わせて提供するものであって、当該返礼品等の価値が当該提供するものの価値全体の七割以上であること。
[七~九 略]
改正前は傍線(この記事では下線)の文言が加わっていない状態がほとんどなので引用を省略しますが、文言が入れ替わっている最後の第5条1項6号のみ、次にご紹介します。
六 前各号に該当する返礼品等と当該返礼品等との間に関連性のあるものとを合わせて提供するものであって、当該返礼品等が主要な部分を占めるものであること。
六号については総務省発表の概要で触れられていませんが、例えば
「地場産品に少しでも関連のある、人気の他県産品とのセット品で、他県産品の価値が49%を占める」
などの場合の排除が想定されます。
附帯する、となると、地場産品が価値も役割的にもメインで、かつ地場産品との関連がかなり強いもの、と考えられます。
具体的なものを想定すると、
「地元でとれたマグロと、それに見合う量の他県産の生ワサビ」
なら問題ないと思われますが、
「地元でとれたマグロが全体の価値の6割+外国産のサーモンが全体の価値の4割」
のセット品がもしあったら、それは附帯性の判断では黒orかなり黒に近いグレーでしょうし、価値の要件で確実にアウトとなります。
このほかの改正点は、総務省の概要にあるとおりです。
他県産のお米を返礼品にできていたのは、これまでは玄米を精米することで「相応の価値が生じている」と認められていたんですね。
わざわざ名指しで釘を刺された精米と熟成肉については、県外産の玄米・精肉(もしくは枝肉・肉牛)を加工している返礼品の金額が顕著に高額だったのでしょう。
熟成肉を定番の返礼品にしていた人は、令和5年9月中に寄附をしておきたいところです。
福岡県飯塚市のハンバーグはセーフでよかった!
税理士事務所等にお勤めの人で、担当先の代表者等がふるさと納税をされている場合には、令和5年10月以降は返礼品が目減りする可能性がある・同じ返礼品に対する寄附金額が高くなるかもしれないということをお伝えしておきましょう。
自分にはどのふるさと納税サイトがあっている?
ふるさと納税のサイトはたくさんあって、大手ポータルサイトには多くの自治体が同様の返礼品をしているので、どれがいいのかよく分からない人もいるかもしれません。
どの決済サービスやポイントのユーザーかによっても自分にピッタリなものが変わってくるので、代表的なふるさと納税ポータルサイトの特長をご紹介しておきます。
・さとふる
同じ自治体でもさとふる限定の返礼品があるのが特長です。
PayPayでの決済やソフトバンクユーザー・Yahoo!プレミアム会員には「さとふるマイポイント」の還元率がアップするキャンペーンがあります。
3や8のつく日など、日によって還元率がアップすることもありますので、先に検索しておいて「お気に入りに追加」し、お得な日にポチるのが定石です。
さとふるマイポイントはPayPayマネーライトやAmazonギフトカードへの交換が可能です。
我が家はPayPayのみ該当するので、キャンペーンのMAX還元率が適用されないのが悲しいところ。
・
還元されたふるなびコインがPayPayマネーライト・Amazonギフトカード・dポイント・楽天ポイントに交換できます。
寄附の後で返礼品を決められる、ポイント制ふるさと納税「ふるなびカタログ」のシステムもあります。
d払い対応の自治体もあり、ドコモユーザー・dポイントユーザにおすすめです。
我が家は「ふるなび派」!
・楽天ふるさと納税
楽天ユーザーはこちらがお得。SPUの対象で、楽天スーパーSALEのときはポイント還元率UPになったりもします。
楽天市場の検索バーで「ふるさと納税」で絞り込めば、楽天市場と同じような手続きで寄附ができます。
寄附者本人のアカウントなら楽天会員の情報を使えるので、新たに住所氏名等を入力する手間がなく楽です。
そして何より、かんたんシミュレーターのほか、詳細版シミュレーターで給与所得以外の所得や各種所得控除を入力できるのが魅力です。
我が家は毎年楽天でシミュレーションしています。
楽天ポイントによる寄附はできませんが、楽天カードでの寄附ならば、カードの引落前の一定期間に「ポイントで支払う」の手続きをすれば結果的にポイントを寄附に使ったことなります。
(※楽天カードのポイント支払に使えるのは通常ポイントのみです。)
登録している全ての自治体でクレジット決済が可能ですが、その他は見たところ銀行振込のみで(違っていたらゴメンナサイ)、d払いやPayPayによる決済はできなさそうです。
楽天
・ふるさとチョイス
あまりTVCMはしていない気がしますが、実は掲載自治体数が最大です。(2023円9月1日現在、1,654自治体。)
寄附によりもらえる「チョイスマイル」はAmazonギフトカード・dポイント・PayPay・楽天ポイント・楽天Edy、Pontaポイント・Tポイント・nanacoポイント・WAONポイント・ANAのマイル・クオカードPayにドットマネーを経由して交換できるので、汎用性においては最強です。(交換レートは交換先により異なります。)
令和5年9月18日(月)まで還元率アップのキャンペーン中。(エントリー要。)
ドットマネーに登録する手間がありますが、Amazonの交換レートが他のポイントより有利なので、Amazonユーザーにオススメです。
・au PAY ふるさと納税
auユーザーにおすすめ、掲載自治体数も多いです。(2023円9月1日現在、1,552自治体。)
Pontaポイントがたまります。
・
泉佐野市のふるさと納税サイトです。
中間マージンやポイント還元がないぶん、正味でお得かもしれません。
他県産のお米・熟成肉の選択は制度改正前に!
・
「マイナビ?」と思いましたすが、2022年11月2日から始めたそうです。
【令和5年9月1日(金)0:00~翌10月31日(火)23:59まで】の期間内で会員登録(ログイン)したうえで寄附をすると寄附金額(上限なし)の10%分のAmazonギフト券をプレゼント、というキャンペーンをしているのが特長です。(エントリーは不要の、自動付与。)
新規参入のためか、まだ登録自治体は少ない(令和5年9月1日現在)ですが、Amazonユーザーは必見です。
まとめ
今回はふるさと納税の条文番号とふるさと納税の制度改正、そしてふるさと納税サイトについてご紹介しました。
何かの制度を知るときに、条文を確認することは大切です。
皆さんも興味が湧いたことについては、直接ご自身で条文に当たってみてください。
住民税の勉強をしたことのない人は、今回の地方税法の第37条の2と第314条の7も、もしよければ、どうぞ。
ふるさと納税サイトの特徴(特長)は私自身が整理したかったので、今回できてスッキリしました。皆さんのご参考になれば幸いです。
お客様への改正点の情報提供もお忘れなく!
※ふるさと納税の控除額、控除限度額については、自己の責任において計算してふるさと納税を行ってください。
当サイトでは個別の計算について一切の責任を負いません。